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小話です。
ちょっとシリアスかもですね……。
王妃様視点のお話
一発書きなので変なところがあったらすみません。
ちょっとシリアスかもですね……。
王妃様視点のお話
一発書きなので変なところがあったらすみません。
国王の隠し子。
あの子は穢れと呼ばれていた。
私はあの子を平等に扱ってきた。我が子と同じように、側室の子と変わりなく。
年を重ねるごとに、あの美しかった母親に似ていくあの子を。
でも、国王の目があの子に母親を見ているのを知った時。
それまでの精一杯の虚勢はあっけなく崩れてしまった。
貴方を愛しているわ。
だからあの子が憎い。……けれども怖い。
「お前の侍女はどこだ?」
「……しばらく休暇を願い出たので許可しましたが?」
「アルガセルから連絡が来た」
唐突に私の元へ来た国王が、これまた唐突に私のもっとも信頼する侍女の所在を聞く。
今までにない事だけに、きょとんとした私を彼は冷めた目で見つめた。
そんな目で見ないでほしい、あの子を見つめるときくらいの狂おしいほどの感情を秘めた目で見てほしい。
そう思う反面、その感情が誰かの面影を私の中に探すようなモノではあってほしくない。
つまり、私は貴方に愛されたい。
「お前の侍女がシャルロットを殺そうとしたらしい」
「……っ!? そんな!!?」
侍女はいつも私を思ってくれた。それと同じように私も彼女を思っている。
私のために、その手を汚してほしくなんてない。
私の醜い嫉妬のために、あの子に命を落としてほしくない。
心からそう思うのに、彼女の行為を完全には否定できない。私自身、あの子を殺してしまいたいと思った事が一度もないとは言い切れないもの。
女の愛情はとても醜い……。わかっていても、どうしようもない。
それくらいに貴方を愛しているから。
「幸い、大事にはならなかった」
「……よかった……」
「お前の侍女も極刑は免れるらしい。……シャルロットの温情だそうだ」
その言葉にひどく安心したと同時に、自分の醜い心を見透かされたような気持になっていたたまれない。
辛く当った私や侍女にも優しさを見せる事のできる心の広さ。それは私には無いものだわ。
「……お前は内にため込みすぎる」
そっと囁くようにこぼして、国王は静かに部屋を出て行った。
私はその言葉の意味を考える。
私を心配してくれたのかしら。それは、義理で? それとも少しでも私への気持ちがあるから?
私は。
期待をしてもいいの?
希望を見いだせるだけで、人は心に余裕が生まれる。
(いつか、あの子にちゃんとお礼と謝罪を)
自然とそう思った自分を笑った。
とても自分中心的な考え方。でも、それが恋をするという事なのだろう。
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