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こんにちは、東雲よはんそんです。
こんな更新不定期で遅い作者の作品を読んでくださってありがとうございます。
お礼も兼ねて、本編にはほぼ関係ないような小話をのせてみました。
一発書きなので、誤字脱字などありましたら申し訳ありません。
お礼も兼ねてるならしっかり書けよ、って話なのですが、すみません。勢いに任せてしまいました……
そしてそんなに長くもない。
まぁ小話ですから。
では、よければご覧ください。
『宰相と妻は心配している』
「馬鹿な子よねー」
この国の宰相の執務室。この部屋の主は今日も真面目に仕事をしていた。それはもう、仕事が恋人、と言わんばかりの真面目具合で。
ここに入る者は誰であれ多少の緊張感が生まれるのだ。
それは、この国の宰相の仕事ぶりがそれはもう素晴らしすぎるからなのだが。唯一、全くそんなものを感じない女がいた。
宰相の妻である。
執務室のソファにだらりと寝ころび、つまらなそうにニコラウス・ヴァーグナーの婚姻に関する報告書を読んでいる。
「馬鹿な子。本当はちょっと気になってたくせに。自分の部下に譲っちゃうなんて」
私だったら、ライバルは蹴落としてでも手に入れるのに。
そう言って、ぽい、と書類を放った。
「……貴女はそういう女性ですね」
宰相は苦笑しながらその書類を拾う。綺麗に角を揃えて、今度は自分が目を通す。
彼女は宰相自身が最も嫌がっていたのを無理やり口説き落とし、妻の座を手に入れた強者だった。
「今よりももっともっと可愛くなっていくあの子を見ながら、きっと少し後悔するのよ。でも結局、自分の選択に間違いはなかったと納得するんだわ」
「エルヴィン様はきっと、本当に愛する人見つけたら躊躇なんてしませんよ。ましてや譲るなんて。……貴女の弟君なんですから」
その言葉に、彼女は綺麗な笑みを見せた。
「そうよ。あの子は私の可愛い弟だもの。いまだに手を焼かせる事もあるけれど。自慢の弟だわ」
「私にとっても自慢の義弟ですよ。ですから……」
宰相は彼女の寝そべるソファの後ろに回り込み、そしておもむろにかがむと……。
「勝手に彼の見合いを画策するのはやめてあげなさい。そもそも、義父上にはご相談したのですか?」
ソファの下から大量の見合い写真を取り出した。
彼女は「ばれちゃった★」と舌を出し、宰相はちょっぴり、というか結構呆れていた。
「だってー、あの子ったらせっかく私が心配してるのにのらりくらりとかわすんだもの。嫌がらせしたくなるじゃない」
この見合い写真の女性たちはきっと本気なのだろう。
それを嫌がらせ、と言い切った女。
なんて女性を妻にしたのか。宰相はちょっぴり妻を見つめなおす必要性を感じたが。
でも結局はそんな妻が好きなのだから仕方がない。
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